福岡県森林組合連合会








概  要



 一口に農林漁業といいますが、林業の際だった特徴は、植え付けから収穫(伐採)まで40年以上と非常に長期間にわたって人手がかかることです。
 昔の森林作業は一般的に季節的で、一年を通して働くことはまれでした。しかし、森林組合や大規模な森林経営者の就労の安定を目指した長年の努力により、近年では一年中働ける作業の仕組みが確立されてきています。
 ここでは平均的な森林での仕事について、一年を通じた作業例をご紹介しましょう。



●木材の安定的な生産・供給

 地ごしらえは、立木を伐採した跡地を整理して苗木を植えられる状態にすることで、2月から3月にかけて行われます。暖かい地方では、この時期に植え付けが行われます。


●木材の安定的な生産・供給

 桜前線とともに、植林の季節がやってきます。苗木の根が活動を開始する時期で、根付かせるのに適しています。4月から5月にかけて、小さな苗木を1本1本丁寧に植えていきます。雪の多い地方では、秋植えといって10月から11月にかけて植えられます。

 植林は、経済的にも公益的にも価値の高い活力ある森林を育てる第一歩で、とても大切な仕事です。植え付け作業は、現在のところ手作業に頼らざるをえません。植林機械の研究開発は行われていますが、日本の森林は傾斜地が多く、また土の堅さが違ったり、石のあるなしなど条件が複雑なため、現在の先端技術をもってしても機械化は難しいのです。


●木材の安定的な生産・供給

 植え付けられた苗木は、雑草より成長が遅いため、梅雨の時期から夏にかけて雑草に覆われたりクズのつるなどが巻き付いたりして、苗木の育成が妨げられます。場合によっては枯れてしまうこともあり、雑草やつるなどを取り除く作業が非常に大事になります。

 暑い時期に草刈り機や鎌を使っての作業なので、つらい仕事ではあります。しかし、森林を健全に育て、よりよい環境を作り、国土を守るためには、なくてはならない仕事です。


●木材の安定的な生産・供給

枝打ちロボット
 除伐は、植林された苗木の生育を妨げる潅木などを切り取る作業です。下草刈りと同じく大事な仕事で、これを怠ると活力ある森林を育てることができません。

 また、枝打ちもこの時期に行います。勢いよく生育しつつある樹木は、枝がたくさんつきます。しかしそのままにしておくと節ができてしまい、製材品等にしたとき、材としての価値が非常に低くなってしまいます。枝葉が茂りすぎていると雪や強風で折れたり倒れたりしますので、森林を守る意味でも余分な枝を切り取ることは重要です。

 以前は木に登っての手作業が中心でしたが、最近では「枝打ちロボット」と呼ばれる機械が活躍するようになりました。


●木材の安定的な生産・供給

プロセッサ
 主伐(しゅばつ)は、植え付け後おおよそ40年以上経って、木材として使える大きさになった立木を収穫(伐採)する作業です。1月を中心とする冬場は樹木の水分が少なく、品質の高い製材品が生産できることから、伐採にいちばん適した時期とされています。

 伐採は、高性能林業機械の普及により、安全で効率よく行えるようになってきています。ハーベスタやプロセッサといった高性能林業機械は、伐採から枝払い、玉切りまで、一貫して行います。


 苗木が生長して枝が混み合うようになると健康な樹木に育たなくなりますので、適当に間引きして森林全体が健全に育つようにします。これを間伐(かんばつ)といいます。

 また、間伐しないと太陽の光が地表に届かなくなり、下草が生えにくくなります。そうした場合、雨が降ると栄養分の豊富な土が流され、土地が痩せてきます。さらにそればかりか、河川の川床を高くして水害発生の要因ともなります。植林後25年間ぐらいまでは、間伐を適切に行う必要があります。林業経営者によっては、40年以上の立木でも間伐して販売する場合があります。